'84頃、当時作品に関する仕事の依頼が、少しではあったがぽつぽつと入り始めていた。 真鍮を主にしたあまり大きくない、どちらかといえば屋内空間向きの”破壊シリーズ”の作品群と、屋外対応には”空気膜構造”の作品シリーズがあるくらいで、屋外作品に求められる大型で、耐候性とメンテナンスにあまり手をかけない、そして高い安全性を備えたものという要求には応えることができなかった。 自分自身の中にも、屋外の陽光を存分に取り込み、大型で環境に対峙でき、かつ耐候性をもった作品に強い興味と実現の欲求をもっていた折、現在のオーデリック株式会社より、ショー出品のため、光を利用したアート性の高い作品制作の依頼があり、初めて本格的にステンレススティールを主素材にした作品を創ることになった。 「光の壁」と題した作品であったが、それは普段見慣れている、ステンレスのヘアーラインと鏡面仕上げのわずかに厚みの異なる板を多方向に組み合わせて面をつくり、立体にするという方法を考えつき作品化したものだった。 その後この手法を使い、屋内外で大型の作品を制作する機会を多く得るようになった。このシリーズを”光シリーズ”と名づけ、その作品の特性として
などがあげられる。 |